音楽ストリーミングサービス「AWA」は、11月30日に下北沢SHELTERでAWA主催の初ロックライブイベント『AWA MOSH PIT Vol.1』を開催する。AWAは、2019年からライブハウスを中心に活動する注目のロックバンドをPick Upして応援する企画「AWA MOSH PIT」を展開しており、現在日本各地の25のライブハウスと連携している。
そしてその記念すべき第1回に出演するのが、あるゆえと時速36kmの2組。
今回はそれを記念してAWAならではのプレイリストを用いたインタビュー、また独自のインディーズ情報収集・発信を努めているAWAオフィシャルライターの「遊津場」氏をインタビュアーに迎え、ここでしか聞けない視点から、各バンドの出演者紹介をしていく。
今回は時速36kmのみなさん。選曲したルーツとなっている曲への愛は止まらず、それが今の進化に繋がっていることが分かる内容になっています！
それでは、どうぞ
遊津場（以下、津）：今回、音楽ストリーミングサービスのAWAがライブ企画するということを記念しまして、出演者をインタビューという形で掘り下げていけたらということでこういう場を設けました！まずAWAのほうから今回の企画の経緯、趣旨を聞かせていただければと思います。
AWA（以下、A）：AWAの中でロックジャンルを強化するということでAWA MOSH PITというプロジェクトを2019年の12月に立ち上げました。その中でロックバンドを応援するというコンセプトの元、やはりライブでしか伝わらないものがあるということでライブが熱い次世代のバンドを集めた企画をやりたいなと考えました。そして、今回その第1弾としてあるゆえさんと時速36kmさんにお声がけさせていただきました。
津：このような状況の中でも音楽の原点を大事にするという意味でライブハウスで、そして今回その先陣を切る2組となります。それでは今回は時速36km編ということで、まず簡単に自己紹介や結成の経緯をお聞かせ願えればと思います。
松本ヒデアキ（Drum & Chorus 以下松）：結成の経緯はそもそも同じ大学で、僕が他の3人より2つ年下なんですけど、僕が大学1年生の冬、2016年の12月頃に所属している軽音サークルの先輩のオギノから「オリジナルの曲を作ってバンドをやろうと思うんだけどドラムとしてどう？」という連絡が来て、やりましょうとなってスタジオに入ったのがスタートになります。そこでボーカルの慎之介とも出会いました。当初はスリーピースだったんですけど2018年にギターの開くんが入って4人体制になりました。
津：このインタビュー前から普通にファンとして聴いてたんですけど、まず東京の江古田を大切にしている印象と、あとこのあと選曲されたプレイリストからトークもしていくんですけど良い意味でルーツが広いというか。曲を聴くたびにライブハウス感だけに捉われない形もあって、地方勢の僕にとってはそういう人達にも向けられてるみたいで嬉しかったり。今、バンドの活動の中でこだわりや軸としているものなどがあったりされますか？
オギノテツ（Bass＆Throat,以下オ）：軸みたいなのありますか、慎ちゃん？
仲川慎之介（Vocal & Guitar,以下仲）：うーん…俺らありますか？
オ：ないねぇ 笑
仲：本当にないな 笑
津：それがひょっとしたらいろんなエッセンスを感じることにも繋がったりしてるのかもしれませんね。
オ：おんなじことをしていたくはないなぁとか、あと仲良くやれたら良いなぁとか 笑
松：確固としたコンセプトはないかもしれないです。
津：なるほど。気になるバンド名も消去法で決めたともYouTubeチャンネルで言ってましたし。笑
ただ時速36kmというのは、人間が一番早く走れる速度という。それなんかすごく合ってますよね。そのために背中を押すというか。
オ：このバンド名で良かったことはとてもあるので。ヒデアキが言ったけどラッキーパンチです。笑
松：名前はとても印象的に覚えてくれるんじゃないかなって感じはしますね。
仲：そうね。他にないからね。
松：エゴサーチするとき最悪だけどね。サッカーがめっちゃ出てきて、ワールドカップでエムバペ（フランス代表。フォワード）が時速36kmで走ったとき、エムバペしか出てこなかったからね。
仲：そうね。その時は大変だった。笑
オ：エゴサする時は「エムバペvs俺ら」
津：東京江古田からエムバペに届くようにということで。
松：フランスまで⁉︎
【プレイリストトーク】
津：それではさらに時速36kmのことを深掘りできればと思うんですけど、せっかくAWAさんでの企画ということで、プレイリストを作っていただきました。
A：今回出演のあるゆえ、時速36km自身の楽曲に加え、メンバーから1曲ずつ音楽的ルーツを感じる曲を選んでもらってプレイリストを作成しました。
津：それではまずBUMP OF CHICKEN『HAPPY』を選ばれた仲川さんから！
仲：ルーツってことだったんで、好きな曲というのは数あれどルーツというからには最初に音楽を聴き始めるきっかけとなった曲を選びました。僕がちゃんと音楽を聴き始めたのが中学2年生くらいからで、周りに音楽好きなやつもあまりいなかったし、とりあえずなんか聴いてみようから始まって。様々な音楽を聴いてく中で「バンプも有名だし聴いてみよう」となって、初めて「パリッ！」っていうスイッチが入ったような音がしたのがこの曲を聴いた時だったんですね。今までの聴いてきた音楽とは違う「あぁこんなに良いものがこの世にはあるんだな…！」ってなって認識がすごく変わって、他のバンドも聴いてみよう、自分でギターも弾いてみようって気にもなりました。そして音楽聴く時、歌詞もちゃんと聴くんですけど、それのきっかけもこの曲なんですよね。だから俺の音楽の聴き方を決めてくれたのもこの『HAPPY』だった気がします。
オ：語るねぇ〜〜
仲：初手は難しいよ。笑
津：いやーでも僕も中2で邦ロックにハマったクチなので！分かります。歌詞の聴き方を話されてましたが、時速36kmはホームページに曲の歌詞が載っています。これもその影響だったりしますか？
オ：あれはバズマザーズを参考にしたんじゃない？
松：それ見てこういうのいいなぁってみんなで話した気が。
仲：まぁでも「歌詞を魅力の1つにしたい」という思いは共通していると思いますね。時速36kmとして。
オ：ちなみに最近はサブスクにも歌詞載ります。
A：最近ですいませんでした！
津：それでは次、Extreme『Cynical』を選ばれた石井さんお願いします！
石井”ウィル”開（Guitar & Chorus)：このバンドは90年代ハードロックのバンドです。で、90年代ハードロックのバンドにおけるギタリストの立ち位置というのがヒエラルキー的にすごい高い時代の、ギタリストがバンドの顔として生きていた時代の音楽に中2、中3の時にどっぷり浸かりまして。今ギターを弾いてることにも繋がってます。このExtremeのギタリストのヌーノ・ベッテンコートのギターを弾く感じとか、フレーズとか、ここから影響を受けることがあまりにも多くて。サウンド面も自分のギターの音の核となる部分に結構いまして、一番俺の心の中にずっといるアルバムなので選びました。誰も知らないと思いますけど。笑
津：いやもうそういう話が聞きたいので！どういった経緯で知ったんですか？
石：僕も中2、中3くらいのいわゆる人と同じもの聴きたくないというこじらせてる時というか。笑
レンタルCD屋に行って30枚くらいその辺のCDを借りてる中で出会いましたね。もちろん自分で弾いたりもしていました。
津：続きまして、bloodthirsty butchers『サラバ世界君主』を選曲されたオギノさんどうぞ！
オ：出会ったのは10年以上前くらいなんですけど、そこからずっと一番好きなバンドなので選ばせてもらいました。人に聴いてもらうプレイリストということもあって、曲はもう全て好きだしオススメだから、AWAさんで一番聴かれてるこの曲が取っつきやすいだろうなとも思って選びました。初めて見たバンドはチャットモンチーとかASIAN KUNG -FU GENERATIONだったんですけど、初めて音楽してみたいな、コピーバンドしてみたいなと思ったきっかけだったのが、bloodthirsty butchersの『荒野ニオケルbloodthirsty butchers』というアルバムで、そのアルバムに後にギターで加入するNUMBER GIRLの田渕ひさ子さんが初めて参加したアルバムでギターを聴いてギターを始めたいなと思ったので、それがバンドを始めるきっかけにもなっているので選ばせてもらいました。
津：プレイヤーとしてのきっかけが大きいというアルバムなんですね。世代ではないと思うんですけど、ライブなど見られたりもしましたか？
オ：行ってましたね。僕がライブハウス行き始めた時がボーカルの吉村さんが亡くなる前の年の2012年とかだったので、10回くらいは行きました。
松：そんな行ってたの⁉︎
オ：行ってたね。母方のおじさんにブッチャーズを教えてもらったんだけど、そのおじさんに連れられてライブ行ってたから13歳くらいからブッチャーズのライブ見てた。
石：すげぇ！
津：では最後、Fall Out Boy 『Don't You Know Who I Think I Am?』を選ばれた松本さんお願いします！
松：僕がバンドの曲を聴くようになったのが高校の軽音部に入ってからでした。いろいろ聴こうと思って、同じ軽音部のギターの子がすごく詳しくて「これなんかいいよ」と勧めてもらって、その中にFall Out Boyがあって当時から気に入って聴くようになりました。このバンドから本格的に音楽を聴き始めるきっかけにもなりましたし、このバンドが好きな理由として年代によって曲の印象が変化しているバンドと思ってて。初期の頃はポップパンクやメロコアが多く、中期くらいからはエモに傾倒していって、最近だとストリングスとか多用したシンフォニックなすごい壮大な世界観の曲も作ってて。でも音楽性は変化しててもFall Out Boyとしてのバンドの魅力っていうのはどういった曲でも変わらずあるなとリスナーとして感じています。この「Infinity on High」というアルバムが中期ごろにあたるアルバムなんですけど、この辺りがストリングス入れたりとか、ピアノだけの弾き語りの曲が入ってたり、いろんな曲調の曲が出始めたアルバムでバンドらしさと変化がちょうどいい感じに混ざり合ってるアルバムだと思っています。
その中で自分たちも最新曲の『アトム』は今までのバンドの感じから少し新転換、いろんなことをやってみようというふうに考えたりして作ったのがこの曲だったりしました。時速36kmもバンドとして変化していってる最中なのかな？と自分達でも感じていて、今の自分達の状況がこのアルバムに重なるところもありました。だんだんここから自分達がどう変化していくのか分からないけど、どんな形になっても時速36kmのらしさは失われずに変化していきたい気持ちを込めて、この曲を選びました。
津：ありがとうございます。聴きたいこと全部話してくださいました。みなさん非常に愛が深いなと感じたんですけど、今回改めてメンバーの選曲どうでしたか？
オ：いやーあんま興味ない…お互い全然聴いてるのも違うしね。
松：たしかに開くんの曲とか知ってなかったし。
オ：世代として通ってる音楽は一緒かもしれないけど、結局バラバラだし「そりゃそうだよね」と思うのもあるかもしれないですね。
松：それぞれ好みのバラつきはかなりあるかもね。
津：そして今年の6月〜8月は3ヶ月連続リリースをされて、その3曲もプレイリストに入っています。先ほど『アトム』では新展開も見せたということも少し話されてましたが、どういった挑戦をしてみたのでしょうか？
オ：歌詞じゃない？曲はさっきのヒデアキも話したけど音楽性を広げていきたいというのがあったけど。
『ハロー』と『アトム』は歌詞の手の内全員に共有して、あーだこーだ言ったのはこの2曲が初めてじゃない？
仲：そうだね。初めてだったね。
オ：例えば慎之介が歌詞持ってきて「触らないです！」ではなく、持ってきて4人で「どうしようか？」というのを歌詞でしたのは初めて。
松：そうだね。今まではオギノか慎之介が歌詞書いてきてくれて、それを俺と開くんが後々読んで「こんな感じのこと言ってるんだろうな」ってしてたんだけど、こういう意図で歌詞書きました、というのを最初にスタジオの時点で説明してくれたよね。
オ：『ハロー』とかはみんなで話して書き変えたりしたよね。『アトム』でも俺はなんか違うみたいな意見も言ったりしたし。そういうことをやったのは今回の3ヶ月連続リリースが初めてですね。
松：それはなんでやろうと思ってたの？
オ：切羽詰ってたのかな…
仲：端的に言うとね。もう売れたかった。
メンバー：ハハハ！
仲：このままじゃダメだというか、分かりにくいまま出すのは親切じゃないと思って。
オ：親切でありたいというのは話したよね。
仲：その親切さと自分の趣味の感じの折り合いをうまいことブレンドするという作業は今回が初めてでした。
津：今年YouTubeで歌詞について話されたときも「抽象的にならない」って言ってましたし、その方向性が今も続いているんだなと感じました。
【当日の意気込み！】
津：まず今回共演されるあるゆえに対する印象はどうですか？
オ：会ったことないよね。
松：直接の面識はないね。
オ：ただウチのマネージャーが褒めてたよね。褒めてたっていうと上から目線ですけど、俺らじゃなくマネージャーですので。笑「いいバンドだよ」って話には聞いてます。
松：あるゆえって結成どれくらいのバンドなんですかね？
津：活動開始は2019年11月ですね。
オ：はっ⁉︎
松：まだ1年だよ。
オ：昨日じゃん！
仲：はー…
松：食われるよ。笑
オ：フレッシュさに負けないように頑張りたいですね！
松：フレッシュさは０だからね。
A：そんなことはない。笑
松：君たち3人は四捨五入したらアラサーだよ？
オ：だから何で勝とうとすればいいんだろう？
仲：難しいね。答えが出ないよ、これ。
松：逆になんで今回選んでくれたんですか？
A：生も配信ライブも見させていただいて、この「AWA MOSH PIT」という名前やコンセプトに合ってる熱さだし、あとはただシンプルに「生で見たいバンドだ！」と思ったからです。
メンバー：ありがとうございます！
津：それでは最後、このライブの意気込みをお願いします！
仲：でも本当にどの部分で我々が対抗していくかって話に繋がってくると思うんですけど、じゃあ今回は俺らの中で一番「いぶし銀」の部分を見せようか！
オ：…後ろ3人は見せるかどうか分かんないです。笑
松：我々は普段通りにやります。
仲：なんだよ！笑
松：でもここで頑張れば有名なライブレポとかにも載るよ。「仲川慎之介、いぶし銀のライブ」って。
仲：載りたい、それで！笑いぶし銀のライブしてみてぇ！
オ：頑張ろうな！ただ時速じゃなくて、仲川慎之介がってなるけど。笑
■インタビュアー：遊津場
AWA："遊津場" on AWA https://mf.awa.fm/2J1MY5y
Twitter：https://twitter.com/sakidori_yutuba
■イベント概要
開催日：2020年11月30日（月）
開催場所：下北沢SHELTER
開催時間：OPEN 18:30 / START 19:00
出演アーティスト：時速36km（https://36kmperhour.jimdo.com/）、あるゆえ（https://eggs.mu/artist/aruyue_official/）
TICKET：2,000円＋1ドリンク ※入場制限60人を予定
購入先：シェルタースケジュールページ ※当公演は、2020年11月16日現在、規定枚数に達したため予約受付終了しています。
チケット購入：https://mf.awa.fm/3oRO3gu
主催：AWA
＜問い合わせ先＞
AWA株式会社
電話番号：03-6757-9313
メールアドレス：info@support.awa.fm
＜新型コロナウイルス対策について＞
本ライブは「ライブホール・ライブハウスにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に準じて実施いたします。
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