DECO*27(デコニーナ)がAWAで選曲したプレイリスト『学生時代から聴いてる曲』を公開。「音楽ストリーミングサービスが出た瞬間、最高だなって思いました」

DECO*27(デコニーナ)がAWAで選曲したプレイリスト『学生時代から聴いてる曲』を公開した。

 DECO*27は2008年10月よりVOCALOIDを使用した作品を動画共有サイトに投稿したことでキャリアをスタートさせ、ニコニコ動画の総再生回数は驚愕の4,100万回を超える。一聴してDECO*27の作品だと判る印象的なメロディーはもちろん、「愛」や「恋」といった万人が持ち得るテーマ、思春期に体験する等身大の感情をリアルに、かつ絶妙な言葉遊びを用いて描いた歌詞が10代~20代の若い世代に圧倒的な支持を得ている。アーティストのプロデュースや楽曲提供も手がけ、幅広い活躍を見せるアーティストだ。今回AWAオフィシャルアカウント開設の記念に、プレイリストの選曲理由から楽曲制作について、定額制ストリーミングサービスに対する印象を聞いた。

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―プレイリスト「学生時代から聴いてる曲」の選曲理由を教えてください。

学生の頃から今に至るまでずっと聴いてる曲たちで、DECO*27として制作している音楽のルーツというのがどこにあるのかみたいなのを、ファンの子たちに聴いてもらって新しい音楽に出会うきっかけになったらいいなと思って選びました。僕が学生の頃から聴いてるってことは、僕のファンの若い学生の子たちは知らない音楽とかいっぱいあると思うので、僕の音楽を通してさらにその前を遡ってもらって、あ、確かにここ影響受けてるんだな、とか色々楽しんでほしいなと思ってこのテーマにしました。

結構洋楽多めになっちゃったんですけど、プレイリストに載ってるものに関しては僕がそのバンドやアーティストを好きになってハマったきっかけみたいな曲をあげてます。解散したバンドはいますけど、活動してるものは最新のアルバムとかまで追ってるような、ずっと本当に聴いてる曲たち。順番は結構思いついた順でパパパーっと入れてます(笑)。

 

―月並みですが、ボカロ楽曲を制作する上で楽しいことや大変なことは何ですか?

ボカロ楽曲を制作してる時じゃなくて発表した後なんですけど、その音楽の歩き方みたいなのがリアルタイムで見れることが楽しいです。ネットや動画共有サイトにMVや楽曲を公開してリスナーに届くまでの流れ、臨場感みたいなものをファンと一緒によりリアルに共有出来るっていうのが、ネットから出てきたというか、そういう場所でやってきた者としてものすごい楽しいです。CDをリリースしたときとは違う、速攻性のある反応が感じれるのが楽しいというか。

ボーカロイド音楽は、発表した後の楽曲カバーやイラスト、アニメーションの二次創作とか、そういう広がりを自分自身の目で追えるのがすごい楽しいなって思います。

 

―ご自身の楽曲から生まれた二次創作作品をどのくらいチェックされてますか?

特にアニメーションのついたオリジナルPVやイラストはもうほぼほぼ巡ってます。今、一緒に活動しているアニメーションを作る方やイラストレーターの方はその方の二次創作を僕が見て、僕から声をかけて一緒にやりましょうっていう流れでやることが多くて。なので、ただ音楽を共有していいねだけじゃなくて、その次を作る時のメンバーというか、そういう人たちも楽曲を発表した後の現象によって出会って一緒にやってます。

 ―デコさんから声をかけるんですか?

はい、以前もアニメーションを作る方を見つけたので、その子に声をかけてやり取りしてました。その子は2010年に発表した「モザイクロール」を小学生の頃に聴いて、そこからずっとモザイクロールのアニメーションのPVみたいなのを作りたい、いつかDECO*27と一緒に作りたいってことを言ってた方だったんですけど。その方と先日、僕とモザイクロールの動画を作ったakkaさんと3人で色々話して。

―その子は夢が叶ったってことですよね。

そうですね、一個叶っちゃいましたね(笑)。「モザイクロール」のMVを作ったakkaさんも、僕の「二息歩行」のオリジナルPVを依頼してない状態で二次創作で作ってくださってて。それ見た時に「あ、この子すごい」って思って。相性いいなと思ったので新曲でやりましょうよ、って声をかけて制作したのが「弱虫モンブラン」とか「モザイクロール」だったんですよ。

その時その流れでやったことが、今も同じというか、音楽やイラスト、アニメーションの創作に憧れて頑張っている人達と出会えるのは本当に面白いなと思ってます。

 

―作品を公開している人たちにとって、この話ってすごく嬉しいし励みになりますよね、いつかDECO*27さんが声かけてくれるんじゃないかっていう目標になるというか。

そういう風に外に見せることによって、ほかの今まさに頑張ってる、もしくはこれから頑張ろうとしている人達の励みというか、頑張ってやったら叶うから、みたいなそういう光みたいな感じになれたらいいなと。

お金を払って普通にプロの方にお願いするっていうのも良いんですけど、やっぱり僕の音楽に対して熱を本気で持ってきてくれる子と一緒にやった方がいい。そういう方に報酬をお支払いしてプラス熱を乗っけてやってもらうっていうのじゃないと、僕自身が納得できないことが多くて。だからそういう出会いとかも面白いなと思います。

―楽曲はどういう時に浮かびますか?よしやるぞ、と気持ちをセットしてからなのか、自然に過ごしていく中で浮かぶのか、どちらですか?

両方あるんですけど、ご依頼いただいて曲を書く場合にはよしやるぞ、って書きますし、そうじゃなくてボーカロイドの曲とかは最初に決めるテーマを何にするかっていうのをすごい大事にしてます。日常生活を過ごしていく中で、普通にテレビ観てる時とか、好きな漫画読んでる時とか、人と会って喋ってると相手がすごい印象的な言葉を言ってきたりするじゃないですか。そういうのとかが頭に残ってて、そこからきっかけとして広がってくみたいな感じですね。

「妄想税」っていう曲を2013年に発表したんですけど、その頃は確か消費税が5%から8%に上がる時で。テレビで税金税金税金…ってずっと言ってて、じゃあこのずっと頭の中で残ってる”税金”を自分の作品として消化しようと思って出来ました。消費税とか払いたくないなって気持ちはみんな同じだと思うんですけど、でももし払いたいなって思える税金があったらどうだろう、って考え方をして生まれました。時事ネタとかはその時本当に自分が感じたことをDECO*27のフィルターを通して曲に落とし込みます。

ーボカロPとしての活動の幅を超えてアーティストの方と楽曲制作する際に、心持ちという心構えの違いはありますか?

歌詞を特に気を遣うようにしてます。僕、結構好き勝手やっちゃうんで。割と度を超えたフレーズがボーカロイドの歌詞だと出てくるんですけど、僕が聴いてる感じだと別に初音ミクが歌ってる分だと全然オッケーで嫌じゃないんですけど、心を持ってる人間が歌うと途端にちょっとキツイってなったりするんで、そこは作詞の最中に実際に歌う方のイメージや人間性を頭に浮かべながら考えます。これ歌ってたら変だなとか、そういう時はちょっと別の言葉に直したりします。初音ミクもそうで、無意識に自分の中にあるイメージの初音ミクにはこう歌ってほしいみたいなのがあって尖っていってると思うんですけど。それと同じ事をアーティストさんとコラボする時もそれぞれに対してのイメージ付けを自分の中でおこなって歌詞を書いてる感じです。

 

―初音ミクとGUMIの使い分けはどうやって決めてるのですか?

GUMIを初めて使ったのが「弱虫モンブラン」。その当時他の方の曲でGUMIを知って、声を聴いてすごいいいな、もしかしたら自分の曲に合うんじゃないかな、と思って、それがきっかけで使い始めて「モザイクロール」や「ペダルハート」とかを書きました。僕の個人的なイメージですけど、GUMIの方がちょっとこう人間味溢れるというか、そういうイメージがあるので、曲を作る時にはこの曲はGUMIだなとか初音ミクだなとか、浮かびあがるパターンが多いですね。久しくGUMIは使えていないですが。初音ミクばっかりになっちゃったんですけど、色々使いたいなというかびっくりさせたいなという気持ちがあるんで、どこかのタイミングで初音ミクを最近ずっと使い続けてるっていうことを逆手に取って、面白いことやりたいなっていうのはちょっとあります。

 

 ―音楽ストリーミングサービスについての印象を率直に教えてください。

サービスが出た瞬間、最高だなと思いました。僕自身、動画投稿サイトに投稿してそれがすごい再生されていろんな仕事をいただいたり、CDを手にとってもらうことに繋がったりっていうところでやってきたので「はいこれ買って」みたいなのじゃなくて「聴いて!」っていう気持ちが一番強いです。

だってニコニコ動画に投稿始めた時なんてお金欲しいなと思ってなかったし、とりあえず自分の音楽聴いてほしいって思っていましたから。配信サービスって割と安価でというか、学生さんでもどこか一つのサービスは払えるんじゃないかなって思いますね。色んな曲が聴けるじゃないですか、そういうのは本当に最高だなと思いました。

―今後期待する事はありますか。

ダウンロード販売とかもされてないような、昔の盤の配信とかがもっと増えるといいなって思ってます。考え方の違いもあるでしょうから難しいこともあるかと思いますが、AWAさんだけじゃなくて他のサービスにもないもの、ダウンロード販売だとあるんですけど定額配信だとないものも配信されたら良いのになぁって思っています。

それが叶って行く、そういう流れになって行くと良いなと。僕自身は音楽もそうですけど動画とかの定額のサービスが最高だなと思っていて、良いと思ったサービスは利用してる感じですね。

DECO*27は10月8日に新曲「愛言葉Ⅲ」を発表した。

AWAでの配信は現時点では未定だが、”想いの冒険はこれからもちゃんと続いていく”というDECO*27の言葉通り、まだまだ立ち止まらないDECO*27に注目し続けたい。


Links

DECO*27AWA公式アカウント:https://mf.awa.fm/2FyQbY6

DECO*27選曲プレイリスト「学生時代から聴いてる曲」:https://mf.awa.fm/2Fms3rp

Credits

Text:Makiko Kashio

Photo:Makiko Kashio


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