ピノキオピーがAWAで選曲したプレイリスト『何度も聴いてる曲』を公開した。
ピノキオピーは2009年より動画共有サイトにボーカロイドを用いた楽曲の発表をスタートし、「腐れ外道とチョコレゐト」や「ありふれたせかいせいふく」「すろぉもぉしょん」など数々のヒット作を生み出す。作曲活動の他にも、動画内のイラストや漫画の執筆、様々な商品プロデュースも行っている多彩なアーティストだ。ライブ活動も活発で、2014年からそれまでのパフォーマンス形態からリニューアルを図り、笑って歌って踊って楽しめるパフォーマンスを提供している。今回AWAオフィシャルアカウント開設の記念に、プレイリストの選曲理由から活動スタイル、定額制音楽ストリーミングサービスに対する印象を聞いた。
―プレイリスト「何度も聞いてる曲」の選曲理由を教えてください。
最近聴いてる曲、昔から聴いてる打率が高い曲と、僕自身が今やっている音楽の根幹になってるものを厳選しました。プレイリストに入れた楽曲はそれぞれ影響を受けていて、アーティスト単位だと電気グルーヴとSpitzが特に好きで、その2つが僕の根幹にあります。最初に聴いたのがSpitzで、そこから音楽を好きになりました。打ち込みとか電子音楽とかセンスとか、やってることの面白さとかは電気グルーヴに憧れを抱いてる部分はありますね。Prodigyは電子音楽の分類に入るんでしょうけど、パンキッシュな音作りがかっこいいので僕の打ち込みとの折衷案、ライブでやりたいことのひとつです。
―ボカロPとしての楽曲制作で楽しいこと、大変なことをそれぞれ教えてください。
作品の出来上がり直前が一番楽しいです。パッケージされつつある、完成が見えて来た時はすごい楽しく作れます。逆にゼロからイチを作るアイディア出しをする段階が一番苦しくて「何も出ないなー」と悩んでることが多いですね。ボカロを打ち込むのも何気に単純作業で大変なので、早く完成しないかなと思いながら作ってます(笑)。
―かなりハイペースで作品をアップされてますが、その原動力や発想はどこから生まれるのですか?
2009年から活動をしはじめて、動画投稿して反応が返ってくるっていうことがとにかく楽しかったんですよ。その気持ちがいまだに続いています。イラストを自分で担当することが多いので作るのは時間がかかるんですけど、習慣というか、投稿しないと不安になってくるから投稿しているって感じです(笑)。日常のサイクルとして半年ぐらい投稿しないともうダメですね、3か月空いたことないと思うし、本当はひと月に1回のペースで公開したいくらいです。
曲を作る時は、ひっかかったアイデアをメモしておいてその中の1個のことが広がってくこともあるし無理やり広げる時もありますね。結局自分が好きなものって幅が限られてるから前にも言ったことが多かったりするんですよ。それをいかに新鮮なニュアンスで伝えられるかを考えながら作ったり。
ーひとつの作品を完成させるまでの制作期間はどれくらいですか?
平均すると大体2週間ぐらいで長くて1ヶ月くらいかかりますね。アイデアがポンって浮かべば最近の「アップルドットコム」みたいに動画込みで一週間以内にで完成することもあります。でもそれは稀で、なんか違うなと思ってやり直すことが多いです。アイデアがスイスイ出ればいいなーって思いながらやってます。
―もう十分スイスイ出てると思いますが…(笑)。そういう時の気分転換は何をしますか?
映画観たり漫画読んだりすることが多いです。あとシンプルに他の人の曲を聴いたりします。漫画も音楽も映画も、誰かが頑張って作ったものだという前提で見てるんで、自分も作りたくなってきます。
―楽曲やイラスト制作のほかにライブ活動も活発ですが、初めてライブをやった時のことは覚えてますか?
覚えてます、すごい緊張しましたね。人前に出るのが好きじゃなかったので、すごい嫌でした。最初は僕じゃない人に金色のタイツを履かせて歌ってもらって、僕はずっとツマミいじってるだけみたいなことをやったんですけど、ダメだこれ!意味わかんない!ってなって(笑)。
徐々に自分自身が前に出るパートを増やしたり、試行錯誤していって、今の形になりました。単純なことなんですけど、そこに自分がいて前に出ることでライブ感が増していくことに気づいたんですよね。
ライブ用にリミックスをすることも多くて、その経験が自身の楽曲のアレンジに反映されたりもしました。なので、ライブやる前と今では楽曲の作り方が変わった部分があって、ライブと曲作りは別モノではなく密接に関係しています。
―今後こういうライブをやりたいという展望はありますか?
より即興性がある感じというか、そこに人がいるから意味があるようなライブができたらいいと思ってます。最近ドラムを入れてやってるのも、その一環です。
―音楽配信サービスについての印象を率直に教えてください。
ずっとCDで買っていたので、月額で物凄い量の音楽を何度も聴けちゃうから、音楽の価値が下がってしまう不安があり否定的だったんですけど、意外と使ってみたら新しい音楽に出会う機会が増えるのは良いことだと思いました。プレイリストを作るのも楽しいし、昔学生時代によくカセットとかMDとかCD-Rとかで自分用のリストを作ってたことを思い出して、音楽を聴くのがより楽しくなりましたね。
―音楽を作っている側の立場として音楽配信サービスに期待する事はありますか?
インターフェイスがノンストレスになればなるほどいいなって思います。わかりやすさ、アクセスのしやすさが一番ですね。あとは、このアーティストの最近の曲を気に入ったら、過去のアルバムから気に入りそうな曲を紐付けてくれると嬉しいです。自分が好きなものを逆引きで勧められたら、自分が好きなものがより明らかになっていくでしょうね。
逆に、苦手そうな曲を紹介してくれるっていうのも面白いかも。
プレイリストの選曲理由を聞いた時に「もっと入れたい曲があった」と言っていたピノキオピー。多彩な彼のオフィシャルアカウントで今後公開されていくプレイリストにも注目したい。
Links
ピノキオピー AWA公式アカウント:https://mf.awa.fm/2Q7VRMN
ピノキオピー 選曲プレイリスト「何度も聴いてる曲」:https://mf.awa.fm/2K96olm
Credits
Text:Makiko Kashio
Photo:Makiko Kashio